読書メモ『新しい家族のための経済学』
204P「日本では親が高齢になると子供世帯との同居も増え、たとえ年金などが充実しても、家族が親の老後の生活に重要な役割を果たしている」
「国民所得全体に占める社会保障費の支出額が低いだけでなく、そのほとんどが年金や医療費にあてられている。それ以外の老人ホームや障害者などの施設や失業手当て、児童手当て、生活保護といった保護の必要な人への支出の割合が非常に低い」
209P 画一化された日本人のライフコース
『(ニッセイ基礎研究所)卒業後すぐに就職し、その後何年かして結婚するというパターンを標準として、それに該当する人の割合をみると、1914〜1918年生まれでは35.1%であるのに対して、1954年〜1958年生まれでは81.5%と高い割合になっている』
⇒『日本の家族はどう変わったのか』日本放送出版協会、1994年
215P「男性の長期雇用を支える制度や妻の税・社会保障制度は、意図したわけではないにもかかわらず、結果として大企業に勤める(高所得)世帯を優遇する制度になっている」
(一流大学から一流企業への)「こうした選抜システムをとおして、与えられた目標を達成することが人生の目的になり、それにむけてまい進する人間が生成されていくことになる。この過程で、私たちは社会システムに対する批判的な視点を失っていくのである」
230P ベティ・フリーダン著『新しい女性の創造』「50年代のアメリカの郊外に住む大学卒の主婦が、アメリカンドリームを実現した後に、自分の人生が空虚だと感じ、それが子供への過度の干渉となって子供の自立を妨げている」という内容
読書目メモ『誰かボクに食べ物ちょうだい』
「誰かボクに、食べものちょうだい」
まえがきから
『日本の子供の貧困率は14.2%、2009年9月、厚生労働省が発表。貧困率というのは、この場合は、すべての国民の年間の可処分所得を上から下まで並べてその中央に位置する値の半分を貧困ラインと決め、貧困ライン以下の所得の人の割合を出したもので、相対的貧困といわれています。だいたい4人家族で年間所得が254万円というのが今回の調査の貧困ラインです。おとな一人子供一人の二人世帯では195万円です。この貧困ライン以下の所得で暮らす子供たちが全体の14.2%をしめるということです。子供7人に1人、30人の学級なら相対的に貧困な子供たちが4,5人いるという計算になります。』
子供の貧困の現実を生々しく伝えるレポート、新聞の連載のまとめの形。1歳半でホームレスになる現実などは信じがたいものである。
33P 狭い保育所;3歳以上児一人当たり面積基準の国際比較
日本は1.98平方(米国3.25、北欧は6.0〜7.5)
143P 親の収入と高校卒業後の進路
年収400万円を超えると4年制大学への進学率が収入に比例して増える
156P 競争に駆り立てられる高校が多いなか、底辺校で『人間関係を崩すものだった勉強が、人間関係をつくるきっかけをくれる』ような指導をしている学校もある。
読書メモ『不平等な生き方』
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35P『当初所得と可処分所得による貧困率』
再分配所得による貧困率の方が高い
41P 教育の中身は階層化した
教育社会学者刈谷剛彦;努力ややる気に階層性がある
45P『自分とつながりをもつのはわが子だけではありません。事実、年をとって社会保障という社会制度から恩恵を受ける場合、自分の生活を支えてくれるのはわが子のみならず、そのほか多くの他人の子なのです』
158P 1980年代日本の高齢者は誰と同居しているかによって所得格差が大きかった、稼ぎ手である子供世代と同居し所得保障を得ることができた
161P 就労している高齢者の所得は、ある程度ある 『働けるうちはいつまでも』
162P 『65歳以上高齢者の労働参加率』 グラフ(OECD2007)
171P 『65歳以上高齢者がいる世帯構造分布』
読み;子世代と同居する三世代世帯割合 ↓
一人暮らし、夫婦のみ世帯、核家族世帯↑
☆核家族世帯の上昇(高齢者のいる核家族)
親(二人親・一人親含む)と未婚の子からなる世帯
⇒若年層の晩婚化、未婚化は親元を離れる時期を遅らせ、その遅れがさらに長引いて親は65歳以上になっていった。
⇒「子育て期間の長期化」
178P『高齢者がいる世帯の世帯構造別貧困率の変化』
・女性の年金権が保障されてから高齢女性の経済状況は改善した。
183P 三世代世帯にいる高齢者
2007年時点で 2割
中身の変化あり 高齢者自身が世帯主である割合
1986年19.7%、1995年31.5%、2004年36.1%
*かつては三世代世帯では、親と同居する息子が世帯主となって家計を担い、親を支えていた
高齢者が子世代と同居しても依然、家計を支え、家計支え、世帯の中心を担っている場合が増えている
*つまり同居の意味が、子世代の経済状況によって違います。
185P『高齢独り暮らし世帯の婚姻関係別貧困率』
2000年代半ば 高齢独り暮らしの大半は死別(女性8割、男性7割)
未婚でずっと一人暮らしなのか、離婚後に一人ぐらいなのか、あるいは死別後に一人暮らしをしているのかによって、経済的リスクは異なる。
『高齢独り暮らしの未婚男性は、死別、離別よりも貧困率が高い』
190P『格差社会とは、実は、生活圏自体が分断される傾向にあって、わが身のこととして実感できる生活体験が限定的な社会』
210P『追体験できないわが身をしっかりうけとめて、他者をおもんぱかること』
『教育を受けることの最終的な目標の一つは、この社会的想像力を研ぎ澄ますこと』
214P『たまたまの要素への抵抗力や対応能力は、どの程度の体力や資力・財力をもっているか、どの程度の支援ネットワークをもっているのかというような「蓄え」の量によってことなって』くる
216P『「見える」ことから格差を考え、不平等を検討する』
みること、他者感覚を持つこと
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読書メモ
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なぜ貧困に陥るのか?一人一人お話しを聞き取り生活歴を明らかにすることから理由へせまれるのかもしれない。
・60P五重の排除
・『溜め』とは
・136P人間関係の溜めを増やすような援助が必要だと。
・163P生活困窮者は『自助努力の欠如』でなく『自助努力の過剰』?どうしようも無くなるまで頑張ること
・167P『行政の補完的な役割』にならないように『私たちでさえ可能なことを、なぜ行政がやらないのか』と問うている
・181P『生活扶助基準に関する検討会』
・201P『生活保護基準の問題を最低生活費の問題として、市民生活の「底上げなのか、底下げなのか」という図式の下、最低賃金等と一括して捉える世論を形成すること』
209P『貧困は人にはないよ、社会にあるんだ』
213P衣食足るという人間としての基本的な体力・免疫力がすべての人に備わった社会は、戦争に対する免疫力も強い社会である。
《全体通じて》
仕事がら社会的サポートの弱い方としばしばお話しすることがある。日本福祉大学の近藤克則先生の言われるソーシャルキャピタルの低いということにあたると思いますが、これが湯浅さんの言う「溜め」とほぼ同義ではないでしょうか?
読書メモ
[rakuten:book:13059515:detail]
参考になった点
①ブログを読み、背景を知り、行間を読む
②書斎を充実させる
③自宅に図書コーナーを設ける
④書店でチェックルートを確立する
⑤書評のサイト
⑥速読法
⑦ポストイットの使い方
⑧座右の書を大切にすること
⑨documentの仕方
⑩読書カードの作り方
⑪推薦図書